コラム


スピカのひとりごと no.79

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

皆さんは、UFO(unidentified flying object)即ち、正体が未確認の飛行物体が宇宙船だとお思いになりますか?
‘この宇宙には無数の星があり、その中には地球のように生命体が存在する星があって当然であり、 地球だけが特別だと思うほうがおかしいし、既にUFOを見たと毎年数多く報告されているから、UF0は宇宙船だ’ と思う方もいらっしゃるでしょう。また、‘地球以外に生命体が存在する星があろうはずはないし、 ましてこのように高度に発達した文明が存在するとは到底考えられないから、宇宙人や宇宙船などあるはずかない’と思う方、 或いは、‘宇宙船の可能性がないとは言えないが、証拠がないから何とも言えない’という方もいらっしゃり、UFOについての考えは、 人様々だと思います。
では、専門家はどのように考えているのでしょう。
宇宙科学者の一人、ステン・F・オデンワルド氏は、「科学者も一人の人間として、広大な宇宙に生命体が存在すると信じることもありますし、 正体不明の物体の様々な現象があることは認めます。しかし、科学的な見地からは、宇宙船の存在については判断できないのです。 証拠やデータを十分に集め、分析してから判断すべきです。 科学者が頑固なのは、悪意や狭い了見からではなく、また自分に都合の良い法則や事実のみを明らかにしようとしているわけでもなく、 自然がどのように働いているか理解しようとしているのです」と述べています。 更に彼は、人間の日常的習性について、「人間は合理的な証拠もないのに、願望をそのまま信じてしまったり、 自分の先入観を強める出来事だけを記憶に留め、矛盾することは無視してしまう傾向がある」と言い、 だからこそテレビを初めとしたマスメディアの影響について危惧しています。 つまり、自分の願望や心情に合っていたり、自分が好きなタレントやアイドルが出ていると、 それだけで多大な影響を受けてしまうというのです。

このところ、子供たちの暴力的で悲惨な事件が相次ぎましたが、テレビ、漫画、ゲームなどの影響について、 社会でも家庭でも真剣に考える時が来ているのではないでしょうか。 また、情報を鵜呑みにするのではなく、自分で判断するということの大切さについても、然りです。
地球が、21世紀に、そしていつまでも美しく優しく素晴らしい星であり続けるために。
(2000年10月)
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スピカのひとりごと no.77

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

地球の南極や北極付近でよく見られるオーロラ。とても幻想的で素晴らしいそうですが、 オーロラがどのようにしてできるのか皆さんはご存じですか? 
地球には、太陽から放出された陽子や電子等のエネルギーの高い粒子が降り注いでいますが、 地球は地磁気による強い磁場にくるまれていて、そうした粒子をはじきとばしています。 しかし、両極付近には磁場の隙間があり、その隙間から、太陽からの粒子が入り込み、地球上の酸素や窒素の分子・原子を光らせ、 オーロラを現出させるのだそうです。
ところで、この美しい光のショーが今年(2000年)は北海道やアメリカの北部でも観測されたそうですが、 これが喜んでばかりもいられないニュースのようです。
いつも変わることなく光り輝いているように思える太陽にも、皆さんと同じように活動的な好調期と活発でない不調期とがあります。 そして、今年から「極大期」といわれる11年周期で巡ってくる絶頂期に入り、それが2〜4年続くのだそうです。 この極大期には爆発的なエネルギーの放出が度々起こり、大量の粒子が宇宙に放出され、地球に到達する量も一気に増大します。 それで、オーロラが普段は見られない緯度の低い地域でも観測されるというわけなのです。
ところで、この極大期の現象がオーロラだけなら“めでたし、めでたし”なのですが、そうは問屋がおろさないようです。 1989年の前回の極大気には磁場が大いに乱れ、磁気嵐が大規模に発生し、広い地域で停電が起きたり、 太陽からの荷電粒子によって人工衛星の電子機器に異常や破損が生じました。 例えばカーナビや飛行機の運航システム等、1989年当時とは比べものにならないくらい人工衛星を利用するようになっている現在では、 その影響がどこまで広がるか予測がつかないようです。
地球は太陽から様々な恵みを受けていますし、「あなたは心の太陽」などというように太陽はかけがえのない存在の象徴です。 そもそも太陽なしには地球の存続はあり得ないのです。その太陽が絶頂期になったことで、 地球が警戒しなければならないというのは皮肉な話のようにも思えますが、 異変が生じたり被害が出るのが自然界ではなく、人間の手による科学の産物ということを考えると、 太陽が地球に発している警鐘のようにも思えてきます。
かわいい我が子の無軌道な生き方を叱りつける親心かもしれませんね。
(2000年6月)
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スピカのひとりごと no.74

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

バブルと聞くと、地球の皆さん、特に日本の方々は「バブルがはじけた」とか「バブルの後遺症だ」とか、どちらかというと、 お金にまつわる現象を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 でも、バブルとは、そもそも泡のことですよね。では、その本物の泡はなぜできるのでしょうか?
鍋に水を入れて火に掛けると、そのうちブクブクと泡立ってきますね。また、川の急な流れや、モーターボートが過ぎた後、 或いは水道の蛇口から水を勢い良く出したときなどにも泡ができることがあります。 それらはいずれも“沸騰して、水に溶けている空気が膨張しながら浮き上がってきて泡ができる”のだそうです。 そんな馬鹿な話があるか、水が沸騰するのは100℃と学校で習ったではないか、といった声が聞こえてきそうです。 でも、それは1気圧の時の話で、気圧の低い高地では、100℃にならずに沸点に達してしまいます。 山で炊いたご飯が生煮えになってしまうことがあるのは、そのためなのです。 極端に言うと、0.02気圧では、20℃で沸騰してしまうのだそうです。 そして、流体力学のベルヌーイの定理にあるとおり、流体の速度が増加すると、圧力が減少し、 そのために急流とかスクリューで水がかき回されて水の流れが速くなると、圧力が極端に減少し、水か沸騰し、 泡が発生するということなだそうです。但し、ゆったりと流れている川で泡がブクブクしていたら、 それはメタンガスの泡で、汚染されているという信号のようですので、呉々もご用心を! 
お金やメタンガス性の泡が発生しない世の中にしたいものですね。

(2000年4月)
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スピカのひとりごと no.73

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

宇宙広しと言えども、現在のところ生命の存在が確認されているのは、皆さんの住んでいらっしゃる美しい星、地球だけです。 その地球の生命は、最初、海にしか存在し得なかったそうです。それが、有害な紫外線から生物を守るオゾン層ができてから、 陸上でも生物が生息できるようになり、陸上生物がどんどんと栄えるようになってきました。
ところが,陸上生物を守っているそのオゾン層が,近年,破壊され、特に南極では巨大なオゾンホールが観測されていると報告されています。

では,なぜ特に南極のオゾン層が著しく破壊されているのでしょうか。

地球の上空18〜22kmの成層圏には硫酸を含んだ水滴から成る層があります。 冬に温度が下がると,その水滴は凍って硫酸の氷の粒となります。その粒に,冷蔵庫やエアコンなどに使用されているフロンが付着すると、 複雑な化学反応が進行し、塩素分子や水酸化塩素ができ、春に温度が上がって、その化学反応済みの氷の粒が溶け, 気体となって大気に放出され、オゾンを破壊するのだそうです。
そして、地球は、皆さんもご存知のように,自転しています。 その自転によって南極と北極の両極では,高度1万m上空にジェット気流が発生しますが、 北極は変動型であるのに対し,南極は安定型とタイプが異なります。それは、北極は周囲の大陸が複雑に入り組んでいて, 更に山脈もあるため,大気の流れが一定ではなく,北極を回るジェット気流もその影響で変化するのに対し、 南極は海に囲まれ、その上南半球の地形が単純なため, ジェット気流が極点を中心にほぼ一定して円に近い状態で発生するからなのだそうです。
つまり、ジェット気流という壁が作られ,南極は外側の暖かい空気が遮断され、冬の温度が北極より低く, 成層圏の氷の粒も多く生成され、オゾンも補給されないのだそうです。 そのため、南極はオゾンの破壊が著しいという結果を招いてしまうのです。

しかし,近年は南極のみならず、北極やその他の地域でもオゾンの破壊が進行しています。 オゾン層に守られて,陸地に尊い命が生まれ,育まれてきました。オゾン層の破壊は, そのまま人類のみならず地球上の生物の命を脅かす極めて深刻な事態のようです。

人間の手で地球の命を絶やすことなく,美しい地球が天寿を全うできるよう、真剣に考える時が来ているようですね。


スピカのひとりごと no.72

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

星の絵を描くとき、☆の形をお描きになりませんか? ○で描く方は殆どいらっしゃらないと思いますが、 皆さんの住んでいる地球も,私の星スピカもそして太陽や月も,恒星、惑星に限らずほとんどの星は, ご存知のように、球形をしています。なぜだかご存知ですか?

星が球形になるのは,一言でいえば,球形が力学的に最も安定しているからなのです。

星は,星間のガスの収縮によって生まれます。つまりガスの成分が重心に向かって集中していくのです。 そしてその集中が進むと、中心部では圧力が上がり、ことに核反応が起こると、外へ広がろうとする力が働き出します。 この重心に向かって集中する重力と広がろうとする力が釣り合うと、力学的に安定した状態になるのですが、 中心からどこをとっても等距離となる球形が最も安定した形であり,その為ほとんどの星が球形をしているというわけなのだそうです。 例外としては、木星や土星など高速で自転しているガス惑星は、楕円形をしています。これは自転によって遠心力が働き、 いわゆる赤道部分が膨らんでいるためなのだそうです。
また、固体成分によって構成される小天体の場合、質量が小さいため,重力も小さく, 構成している物質を破壊して丸くするだけの力がないため,いびつな形をしていることがあるそうです。

星と同じように人間も、心が小さいとわがままや意地悪を押さえる力が足りず、ごつごつといびつになってしまい、 心が大きくなるに従い、丸く安定してくるのでしょうか。 素晴らしい音楽を聴き,心に栄養をたっぷり与えて大きく育て、丸い人間になりたいものですね。


スピカのひとりごと no.71

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

今年は西暦2000年という20世紀最後の年であり、同時に、千年祭=ミレニアムに当たる大きな区切りの年ですが、 残念なことに不安を抱えての幕開けとなってしまいました。 皆さんの中にも、お正月休みも返上して会社で待機、或いは非常食や七輪を家に準備などという方もいらっしゃたのではないでしょうか。
その原因は、そう、昨年の暮れに近づくにつれ、日本のみならず世界の関心を集めていたY2K、 すなわちコンピューターの2000年問題です。この2000年問題で、世界中、少なくとも先進国といわれている国がいかに コンピューターに頼り切っているかが思い知らされた感があります。
人類は誕生以来どんどん進化、進歩し、とりわけ20世紀の科学はそれまでと比べようもないほど急速な進歩を遂げました。
今世紀の初めには、人間が空を飛ぶなんて半ば夢物語だったのが、月にまで行ってしまうようになったのですから...。
そして、その進歩の象徴で、まさに万能であるかに思われていたコンピューターにこのような落とし穴が潜んでいるとは....。

ところで、そのコンピューターも含め、太陽や銀河系といった宇宙や人体に至るまで、この世に存在するものは全て、 たった92個の元素から成り立っているのだそうです。

そして、この広大な宇宙の98%が水素とヘリウムの僅か2つの元素に占められており、現在の一般の説では、 この二つは宇宙の始まりと考えられている大爆発=ビッグバンから僅か20分の間に出来たと考えられています。 (この2つに加えて、微量のリチウム、ベリリウム、硼素の計5個の軽い元素が、ビッグバン直後に作られ、他の87個の元素は、 星や銀河の誕生後に、衝突や融合などの時の様々な反応で生まれたと考えられているようです)。
いかに文明・文化・科学が進んでも、それはこのたった92個の元素の枠の中でのことであり、 同時にその92個の元素は宇宙の始まりからの長い長い歴史を担っているのですね。

因みに、地球は軽くて重力(引力)が小く、軽い水素やヘリウムを引き留めておくことができなかったため、 後から誕生した窒素や酸素が多く存在するのだそうです。 水素とヘリウムが主成分でない星は、地球の他には火星、金星、月などほんの僅かで、いわば宇宙の異端児のようです。
でも、異端児であることに感謝ですね! 

やはり頬を撫でる風は、水素やヘリウムの風ではなく、木々をわたる緑のそよ風の方に限ると思いませんか?


スピカのひとりごと no.68

私はスピカ。乙女座の一等星です。

人間は考える葦である” これはフランスの哲学者パスカルが書いたパンセ(瞑想録)の中にでてくる有名な言葉です。 皆さんも何度となく耳にしていらっしゃることと思いますが、パスカルは一体何を意図してこの言葉を書いたのでしょう。 この言葉がでてくる一節を紹介します。
「人間は一茎の葦にすぎない。自然のうちで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。 彼を押しつぶすのは、全宇宙が武装するには及ばない。 一吹きの蒸気、一しずくの氷だけで、彼を殺すのに十分である。 しかし、宇宙が彼を押しつぶしても、人間は、人間を殺すものよりもいっそう高貴であろう。 なぜなら、人間は自分が死ぬことを、宇宙が人間を越えていることを知っているが、宇宙はそうしたことを何も知らないからである。」

人間は弱い存在であるが、「考え」、「理解する」ことができるが故に尊厳があると、パスカルは考えていたようです。 人間は手を使い、火の存在を知ってから、他の生物と異なる道を歩んできました。 そして、より便利なもの、より快適なもの、よりおいしいもの、更には敵をより多く倒せるものを求めて、色々なものを創造し、 そして破壊してきました。それは考え、発見し、理解する事ができるが故に為せる業なのでしょう。 そうしたことを司っているのが、脳です。その脳についてはまだまだ未知の部分が多く、 ノーベル生理学医学賞を受けたコーンバーグという学者は、「これまでは、物理学、そして微生物、ビタミン、酵素、遺伝子を解明する 生理学が隆盛だったが、これからは脳の研究が主役となるだろう」と言っています。 喜怒哀楽といった感情或いは感性、そして思いやりや愛情などの心の動きを司るのも脳であるとしたら、 なおのこと脳の研究は進んでほしいものですね。 利己的な考えや意地悪な思いの回路を自ら遮断することができたなら、どんなにか素晴らしいことか.....。 そうすれば人間は考える葦として、真の尊厳を持った存在と胸を張って言えるでしょう。

ところで、パスカルが言うように、果たして、宇宙は何も知らないのでしょう


スピカのひとりごと no.65

私はスピカ。乙女座の一等星です。

“一年の計は元旦にあり”などといい、カレンダーは冬のさなかの1月に始まりますが、春夏秋冬という言葉が象徴しているように、 1年の始まりは春という季節がもっともふさわしいのではないでしょうか。 新しい芽が出て、花が咲き、何かウキウキする。冬眠からさめた動物も活動を再開し、人間社会でも入学式、入社式が行われ、 子供も大人も新たな希望と夢を持って羽ばたいていきます。

そんな門出を祝うかのごとく咲く桜。そう、春といえばお花見を真っ先に思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 飲めや歌えの賑やかなお花見も楽しいものですが、そんな喧噪を離れて、ふと夜桜を見上げてみて下さい。 しみじみと心にしみいる美しさがあります。そしてその桜の花を照らす月の光に心を奪われた方もいらっしゃることと思います。 (ちなみに、今年は桜が見頃を迎えた4月1日に美しい満月が輝いていました。)ところで、その月が、毎年、 数センチずつ地球から遠ざかっているのだそうです。

皆さんもご存じのように、月の引力によって、地球の海に干潮が起きます。 実は、この干潮がくせ者なのです。海は、潮の満ち引きに伴い、大量の海水が移動し、海底をこすります。 すると、地球の自転にブレーキがかかることになり、ほんの僅かずつではありますが、自転が遅くなっているのだそうです。 そして地球の自転が遅れると、月は遠心力が大きくなり、地球から遠ざかっていってしまうのだそうです。 地球と月とは、何かよほどのことが起きない限り、徐々に離れていく運命にあるということなのでしょうか。

ちなみに、海のない月では、地球の引力によってどのような現象が起きているのでしょうか。 それは、ひっきりなしに地震が起き、ガタガタと岩が軋み、揺れっぱなしの状態なのだそうです。 月の兎が「のんびりと餅つきなんかしてられないんだよ。本当はね。」と、言ったとか言わなかったとか...。


スピカのひとりごと no.64

私はスピカ。乙女座の一等星です。

「月が太平洋を創った」とお聞きになったら、皆さんはどう思われますか。 「そうかもしれない」、「信じられない」「ウソ」と、様々な意見が出ることでしょうが、 「一体どういうこと」というのが真っ先に挙がることと思います。

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの弟、 ジョージ・ダーウィンが月の誕生について「太平洋起源説」という説を唱えました。 その説によると、地球はできたばかりの頃には、まだ柔らかく、しかも自転周期がたった5時間という猛スピードであり、 ついには、地球がちぎれて月となり、ちぎれた跡が太平洋になったというのです。 まるでお餅みたいですね。これは言ってみれば「地球分裂説」ですが、月の誕生については、他にも諸説があります。

先ず「捕獲説」。この説によると、太陽系のどこかで生まれた小天体が宇宙をさまよっているとき、地球のそばを通り、 地球の引力に捕まり、衛星となって地球の周りを回るようになり、現在の地球と月の関係が生まれたというのです。 ただし、この説ですと、地球と月の組成が異なることになるはずですが、現在では両者の組成がほぼ同じということが判明していることから、 この説の信憑性は薄いようです。

次に「兄弟説」で、以前は同じように太陽の周りを回っていた兄弟のような星でしたが、地球が成長するにつれ、地球の引力に負けて、 月は地球の衛星になってしまったという説です。兄は弟より強し、なのでしょうか。

そして、「衝突説」。地球が誕生してまもなく、小惑星が地球にぶつかり、両者から飛び散った物質が地球の周りをぐるぐると回り、 そのうちその物質が一つに合体して月になったという説で、現在では一番有力と考えられています。

いずれにしても、地球にとって一番身近な存在である月の誕生は未だ謎に包まれていてはっきりとは解明されてないようです。 今年は兎の年。月の兎に本当のことを聞いてみたいものですね。でも、神秘であるからこそ、月に憧れ、 月を愛でる気持ちになるのかもしれませんね。



スピカのひとりごと no.63

私はスピカ。乙女座の一等星です。

皆さんはのどが渇いたら、水を飲んだり、或いはジュースやお茶、時にはビールを飲んで、水分を補給しますね。 人間の体はほぼ6割が水だといわれており、水は体内で血液やリンパ液として体内を循環しながら、 栄養素や酸素を運搬したり、老廃物の排泄をしたりと、とても大切な働きをしています。 ですから、水分の調節はとても重要で、うまく行かないと病気になったり、老化していくのです。 ちなみに、人間の体からは1日に、尿や大便として1.5g、吐く息から0.5g、皮膚からの蒸発が0.5g等で合わせておよそ 2.5gの水分が排出さているそうです。

ところで、水分の調節が大事なのは人間に限ったことではありません。ギリシャ哲学の父と言われるタレスが「万物の根源は水である」 と言っているように、木や草、土や空気の中にも水は存在し、その役割は極めて重要です。 そして、全ての生物は海から生まれたとも言われていて、余談になりますが、人間の血液の成分はタンパク質等の 大きな分子を取り除いた後のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの成分の比率は海水と殆ど同じなのだそうです。

このように人間にとっても、地球全体にとっても、大切な大切な水。 その水を万物の霊長といわれている賢いはずの人間はあまりに認識してないのではないでしょうか。 その結果、生命の源である水を汚し、自分で自分の首を絞めているように思えるのです。 森林破壊による水害、酸性雨、川や海の汚染.....挙げればきりがないですね。 海の水が蒸発して雲になり、雨を降らせ、山にしみ込み川となり、それを人々が利用し、そして再び海に帰っていきます。水を汚せば、 その汚れはいつか汚した張本人の元に戻ってくることになるのです。

確かに、蛇口を捻れば一見きれいな水が勢いよく出てきたり、自動販売機やコンビニで飲料水が手軽に買える生活をしていると、 水が大切という実感が余り持てないのも仕方ないことのように思えます。でも、蛇口を捻ったとき、ジュースやビールを飲むとき、 「万物の根源は水」と、ふっと思って見ませんか。



スピカのひとりごと no.58

わたしはスピカ。乙女座の一等星です。

このところ地球ではエルニーニョ現象とか温暖化という言葉が頻繁に飛び交い、世界各地から異常気象が伝えられています。 まるで地球が、私利私欲に駆られた人間のエゴに傷つけら、悲鳴を上げているようですが、 それを尻目に核実験といった地球をますます傷つける行為が続いており、地球の悲鳴が人々に届いていないのか心配になってしまいます。

そんな昨今、『木を植えた男』(ジャン・ジオノ原作、フレデリック・バック絵、あすなろ書房)という、実話に基づいた絵本に出会いました。 舞台は20世紀初めのプロヴァンス地方のとある村。かつてはとうとうと美しい水を湛え古代ローマの遺跡も残るその村は、 20世紀になってから水が涸れ、人々は村を捨て、僅かに残る住民もいがみ合って暮らしていました。 その村に家族に先立たれ、初老の羊飼いが一人ひっそりと暮らしていました。彼は一人歩む静かな人生に満足していましたが、 ただのんびりと過ごすよりは人々のためになる仕事をしようと、不毛の地に生命の種を植え付けることを思い付き、 一人ただコツコツとどんぐり10万個植え続けました。ブナの木、カバの木も植え続けました。5年10年と経ち、荒れ地は林となり森となり、 肥えた土地へと変わっていきました。荒れ地だった頃は、僅かな住民の心もすさみきっていたのですが、1人の男の努力が土地を肥やし、 水を蓄え、爽やかな風を吹かせ、人々を呼び、笑顔を取り戻させたのです。

この絵本は「名誉も報酬も求めない、誠に奥ゆかしい行いは、いつか必ず、見るも確かなあかしを地上にしるし、 後の世の人々にあまねく恵みを施すもの。」と始まり、「魂の偉大さの影に潜む、不屈の精神。心の寛大さの影に潜む、 たゆまぬ熱情。それらがあって、はじめて素晴らしい結果がもたらされる。」と締めくくられています。

この本の精神を心のどこかにもち続け、地球が青く、美しい星であり続けることを願わずにはいられません。